深夜シンクの前に立ち、
夫とふたり、
レモンを半分ずつかじりました。
先週土曜のお菓子作りでレモン汁をしぼったきり、
新しい使い道を見出せないまま冷蔵庫にころがっていたので、
明日はゴミの日だし今からかじってしまおうよと、
ゴミにするためかじりました。
ひとかじりしてそのすっぱさに身悶えながら、
「フッヌァンッ」
「ンツァツッ」
と、くしゃくしゃの顔で同時にすっぱさ感嘆詞をもらし、
あぁすっぱいと笑いました。
台所中がレモンのすっぱい香りで満ちて、
レモンをしぼる指先が赤くて冷たくて、
この感覚はなにかにそっくりだ・・・
と思ったけれど、
それがなんなのかわからないまま、
レモン果汁は搾り尽くされ、
ホットミルクにまぜられて、
ゴミの日のゴミになってしまいました。
レモンを見るとどうしても、
一度かじらなければいけない気持になるのは、
なぜだろう。
あの身悶えするすっぱさを、
どうして何度も、
味わいたくなるのだろう。